慢性腎臓病
慢性腎臓病とは「腎臓の障害」もしくは「腎機能低下」が3ヶ月以上持続している状態をいいます。腎臓の機能が低下すると尿とともに老廃物を排出する能力が落ちて体の中に蓄積していきます。また腎臓が尿を濃縮することができなくなってくると、排出する尿の量に対して飲み水の量が追いつかず脱水していきます。失われた腎機能は回復することはなく、徐々に進行していきます。
無症状のまま進行していくことが多く、症状として現れた時にはすでに腎臓の機能の大部分が失われていることも多いです。
慢性腎臓病のステージ分類
慢性腎臓病と診断された後にステージ分類を行います。このステージ分類は慢性腎臓病が安定した状態でかつ脱水のない状態で評価することが重要です。
分類には血液検査項目のクレアチニンを用います。その他にも蛋白尿や血圧によってさらにサブステージ分類も行われます。ステージによって推奨される治療は変わってきますが、患者さんによって最適な治療は異なりますので、獣医師の指示に従ってください。
治療
慢性腎臓病は進行性の病気で回復することはありません。そのため治療の目的は「腎機能の低下を遅らせること」です。
この中でも特に「脱水の改善」が一番大切です。腎臓の機能が低下しているため水をたくさん飲んでも体から出ていく水分量の方が多くなり脱水を引き起こします。この脱水は腎臓病の悪化要因の一つでもあるため、注意しなければなりません。
そうは言っても犬や猫に水を飲むよう促すのはなかなか難しいのでこのような工夫をしてみましょう。
①ウェットフード主体の食事に変更する
②水飲み場を増やす
③水の好きな飲み方や場所を見つける
④ささみの茹で汁などで風味付けしてみる
⑤液体状のおやつを水に入れて味付けする
さらに、腎臓病が進行すると様々な合併症が引き起こされます。
合併症はさらなる腎機能の低下を招くため治療しなくてはなりません。どの合併症がどの程度起こるかは症例によって様々です。そのため慢性腎臓病の治療は完全「オーダーメイド」になります。どうやって治療していくかは獣医師と飼い主様でご相談しながら決めていきます。